買い物に不便な地域に店を作ること。


上野伸五
 今ご紹介いただいた3つの方策の中でも、
 1つ目の買い物弱者地域に店をつくることは、
 地域のコミュニティをつくる上でも大変有効であると思われますが、
 民間の事業者が採算のない場所に店舗をつくることは考えにくく、
 国や県、飯塚市の支援制度が必要になると思われますが、
 現在、このような施策への支援制度はございますか。


商工観光課長
 買い物弱者地域に店をつくることへの国、県、市の支援制度につきましては、
 平成25年度までは国県等の支援策は一部ありましたが、
 今のところ見当たらない状況でございます。
 現在は買い物弱者対策への支援としましては、
 移動販売や宅配サービス、あるいは街中に人を呼び込むための
 地域公共交通整備、商店街の活性化に対する支援制度が中心となっております。


上野伸五
 買い物弱者支援の取り組みについては、
 全国的にさまざまな事例があると思いますが、
 買い物弱者地域にお店をつくるという事例で、
 本市においても参考となるようなことがあれば、ご説明いただけますか。


商工観光課長
 身近な場所に店をつくる事例ということで、
 大分県中津市の旧耶馬渓町で取り組まれております
 「ノーソンくらぶ」の取り組みについてご説明させていただきます。
 これは周辺住民80人を会員とするNPO法人を平成17年に立ち上げ、
 JA支店跡を活用した地域の共同店舗での販売と
 地域産品のスーパー等での委託販売を行う「ノーソンくらぶ」を開業いたしまして、
 高齢者等を中心とした買い物弱者支援を実施しているものでございます。


 この事例の工夫ポイントは、
 住民が会員となり入会金2000円、年会費1000円を出資して
 積極的に店舗運営に参加していること。
 また、会員80人のうち32人はNPO法人を通じて
 自ら生産した農産物をスーパーに販売することで収入を確保していくこと。
 

 また、効率化、継続の工夫としては、
 食料品や衣類、生活用品など、住民からのリクエストの数だけ品揃えをふやし、
 300品目以上の商品を取り揃えていること。
 また、スーパーでの委託販売によって得た現金収入を、
 住民が「ノーソンくらぶ」での購入資金に充てることで、
 事業の相乗効果を図っていることであります。


 成果としましては、
 平成21年度の「ノーソンくらぶ」の年間売り上げは約364万円、
 1日当たり1.7万円でございます。
 また、スーパー等での委託販売では約461万円を売り上げ、
 その70%を農作物の生産者である会員に還元しております。
 また、「ノーソンくらぶ」では憩いのスペースを設置し、
 ここで地域コミュニティの中心となるような機能も持たせております。