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「全国学力テストの学校別の成績を公表してほしい」という要望に対して、
　私の考えを書かせていただきましたので、以下にご紹介いたします。

飯塚市議会の上野伸五です。
　今回はこのように素敵な企画に参加させていただいて、ありがとうございます。
　さて、「全国学力テストの学校別の成績を公表してほしい」という、
　大変デリケートなご要望に対して、
私は以下のように大きく８つの理由において現段階では賛成することができません。

全国学力テストの大きな目的の一つは、
　国が各地域での教育及び教育施策の成果と課題を検証し、
　その改善を図ることだとされています。
　つまり日本全体の教育改善のためだとされています。
　誰のために、何のために開示するのか、
　また その結果などについても考えてみました。

１．学校別の通塾率（学習塾へ通う割合）との相関関係も考慮すべきではないのか。
　今時、勉強は何も学校だけでやっているわけではありません。
　公表に当たっては、学校別に児童生徒の通塾率を把握し、
　加えて塾での学習が学校成績にどのような影響を与えているか等の
　研究・検討・考慮なども必要となるのではないでしょうか。

２．越境入学への資料提供や好奇心を満たすだけの開示では本末転倒。
　入学させる学校を選択するために成績の公表を望む声も聞こえますが、
　これは越境できる家庭とできない家庭の間に大きな不公平感を生じさせます。
　結局、子ども達への悪影響につながるのではないでしょうか。

３．成績の低い子どもに対していじめの原因となるのではないか。
　どの地域でも地元の学校成績が良いに越したことはないと考えるとき、
　勉強が得意でない子ども達、障がいのある子ども達への
　対応や人間関係の悪化がとても心配です。

４．単純に学力別の学校編成を目指すのか。
　飯塚市が他自治体との差別化を図る為に、
　学力別やスポーツ等の特技別学校編成を目指すのならば、
　公表はあってしかるべきです。

５．内部資料としては指導力不足の教員把握に役に立つと考えるが、子ども達の成績は一朝一夕には上下しない。
　指導力や学級経営能力が乏しい教員の把握や、
　その改善には惜しむことなく役立てるべきだと思いますが、
　子ども達の成績、特に中学生においては小学校からの積み重ねの結果ですので、
　ピンポイントで判断することは難しい。

６．学校長の氏名を公表することに意味があるのか。
　成績とともに学校長の氏名を公表している自治体もありますが、
　管理職は２〜３年での異動が多いと聞き及びます。
　その管理職の取組みの成果がスグに出るとは限りません。
　ある時点での学校成績の良し悪しとともに
　校長の氏名を公表することには意味が無いのではないかと思います。

７．教員は福岡県での採用である、公表に踏み切った後、飯塚市を望む教員が増えるのか。
　現在でも教員の皆さんは都市部を希望するという傾向があるようです。
　飯塚市では学校名を公表するとなれば、
　ますます赴任希望者が減少するのではないでしょうか。

８．不動産価値にも大きな影響が出るのではないか。
　学校成績が公表されれば、
　当該学区内の不動産事情にも大きな影響を与えるのではないかと考えます。
　公の機関がそのような事態の助長を促す可能性がある行為は
　出来るだけ避けるべきだと思います。

上記のような理由から、
　現段階では好成績の他自治体での取組みの中から
　飯塚市で活かせる事項を活用しつつ、
　市全体での経過や結果を公表することは必要かもしれませんが、
　原則的に、各地域の学校は、その地域とともに、
　地域特色を活かした良い学校づくりを目指すことが大切なのではないでしょうか。

　学業成績だけに特別にこだわることは、
　地域の特色や人と人との絆を
　自ら放棄することに繋がるのではないかと懸念もいたします。

　よって、学校別成績の公表に踏み切ることに
　現時点で賛成することは大変難しいと、私は考えています。
（今回は出張中のためご回答が大変遅くなってしまい申し訳ありませんでした）

（全国学力テストについての参照）
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